『カーネル・サンダースの教え 人生は何度でも勝負できる!』(中野明)
【タイトル】カーネル・サンダースの教え 人生は何度でも勝負できる!
【著者】中野明
【読んだきっかけ】偉人の伝記を読みたかったから
【私的評価】★★★★☆
【あらすじ】
世界中で知られる一大外食チェーン、ケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)の創業者、カーネル・サンダース(本名ハーランド・デビッド・サンダース)の生涯について、カーネルに関するいくつもの書籍をもとに書かれた一冊
白ヒゲに白いスーツにステッキというお馴染みの出で立ちからは想像がつかないほどの波乱万丈で破天荒な生涯を知れる一冊
【感想】
先日読んだ『一生折れない自信のつくり方』(青木仁志)に
「成功者の伝記を読んでみよう」と書かれていたのでこの本を手に取ってみました。
カーネル・サンダース(以下、カーネル)が実は波乱万丈の人生を送っているということは何となく知っていたのですが、
改めて伝記を読んでみると10歳で働きだして職を転々とし、上手く行ったセールス業で破産を経験し、飲食業で成功してもその後65歳で無一文になったり、そこからあのKFCを創業したり、想像以上に波乱万丈で驚きました。
読んでみて素直に思ったのは成功者の方々は行動力があるな、と思いました。
(↑当たり前のことかもしれませんが…)
中でも飲食店を経営してる時代に、店を焼失した際のエピソードには驚かされました。
カーネルはKFCの前に「サンダース・コート&カフェ」という飲食店を経営していたのですが、業績が好調なので2号店を出そうということになりました。
そこでカーネルは、1号店の運営を長女の亭主に任せて、300km離れた場所に2号店を設け、自分は2号店の運営に注力することにしました。
2号店を開店して経営も順調だったのですが程なくして、1号店が火事に見舞われます。
それを電話を知ったカーネルは火事を周囲に広げさせないよう店員に的確に指示を出し、その後すぐさま車に飛び乗り、自分も300km離れた1号店に向かいました。
普通ならパニックになっても不思議でない状況ですが、カーネルは車中ずっと
「どうやって店を再建をさせるか」を考えていました。
資金繰りはどうしようか、という根本的な問題から、事業形態を変えた方がいいか、帰るとすればどういう形がいいか、という具体的な問題まで考えていました。
一日中車を運転し続け、翌日午前中に焼失した1号店に着いた時には再建計画をほぼ完成していたというのだから驚きました。
それから「四つのテスト」という話も印象的でした。
セールス業を始めたカーネルは自分の仕事に対し、チェックリストを作りました。
・嘘偽りはないか?
・関与するすべての人に公正か?
・信用と信頼を築けるか?
・関与するすべての人に利益があるか?
これが「四つのテスト」です。
このチェックリストすべて当てはまるような商品や事業であれば、自信を持って売り込むことができる、ということです。
この四つのテストはカーネルが事業を行う上で生涯大切にしていたそうです。
私が尊敬する経営者に京セラの稲盛和夫会長がいるのですが、稲盛会長も四つのテストと同じようなことをおっしゃっていました。
「動機善なりや、私心なかりしか」
動機は世の中を良くしようという善の心から出たものか、自分だけ私腹を肥やそうという私心はないか、という言葉です。
カーネルの四つのテストにそっくりだと思いました。
やはり一流の経営者には共通する精神なのかもしれません。
この本が出版されたのは2012年の頃でした。
その頃の日本の経済状況はリーマンショックから立ち直りかけていた頃に東日本大震災が起こり、非常に暗いものでした。当時のことをよく覚えている方も多いと思います。
この本の終わりに著者の中野明氏のこんな言葉が書かれていてとても印象に残りました。
「最善を尽くしても成功を手に出来るとは限りません。
しかし、何もせずに終わるこの先10年と、とにかく悪戦苦闘したこの先10年とでは結果はおのずと違うものになるはずです。」
2020年9月現在、日本どころか世界中で大変な事態が起きています。
しかし、そんな中でも自分にできることについて最善を尽くしたいと思いました。