トーマスの視聴覚室

トミえもんの視聴覚室

観た映画や、読んだ本についてのレビューを中心に書きます。時々雑談も挟みます。

映画『ワンダーウーマン1984』(ネタバレあり)

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※この記事はネタバレを含みます。

 

【タイトル】ワンダーウーマン1984

【観た媒体】映画館

【観たきっかけ】前作を見てファンになったので

【私的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】

2017年に公開された映画「ワンダーウーマン」の続編。

アマゾン族のプリンセス、ダイアナは人間界に暮らし、博物館に研究員として勤務する傍ら、時にヒーローとして街の事故や犯罪を防ぐという生活を続けていた。

ある日、彼女が勤務する博物館にバーバラ・ミネルヴァという女性研究者がやってきた。

彼女はFBIに押収された密輸グループの怪しい石の鑑定をする為にやってきたという。

バーバラは地味で引っ込み思案な女性であったが、心優しい女性だった。

 

石は当初胡散臭いまがい物と思われたが、台座にラテン語で「なんでも願いを叶える」と書かれており、半信半疑で願い事をしたところ、

ダイアナは「死んだ恋人のスティーブを蘇らせる」、バーバラは「ダイアナのように強く美しくなる」という夢が叶えられてしまった。

しかし、夢の代償としてダイアナはヒーローとしての強さを、バーバラは優しい心を失ってしまう。

 

ちょうど同じ頃、石油会社の経営するマックス・ロードが博物館に寄附をしたいと現れた。

彼はメディアにも数多く出演し、成功者のような振る舞いをするが、実際には一向に石油を掘り当てられず、借金まみれの身であった。

実は願いを叶える石は彼が密輸業者を通じて取り寄せたものであり、石の力で自分の願いをかなえようとしていたのだ。

上手く博物館に入り込んだマックスはバーバラを懐柔し、石を手に入れることに成功した。

そして、「自分自身が石になりたい」という願いをかなえ、数多くの人の願いを叶える代わりにその人の大切な物を奪っていった。

 

 マックスは共同経営者の株式をすべて奪い取ったり、石油王の衛兵を奪い取ったり、アメリカ大統領に世界最大規模の核兵器を与えたり、自らの願望を叶える為に暴走をしていった。

ダイアナはそれを止めようとするが、ヒーローとしての力を失っている為、太刀打ちできない。

また、すべて元通りになってせっかく手に入れた自分の力を失いたくないバーバラの妨害も受けてしまう。

ダイアナは世界を救うべく、蘇らせたスティーブとの別れを決意し、自分の願いを取り消してヒーローとしての力を取り戻す。

 

マックスは大統領から権限を奪い、軍の人工衛星を使って世界中のテレビやモニターなどの全ての映像機器にアクセスし、全世界の人々に触れて願いを叶えその見返りとして

自らの願望を自らが望むままに叶えようとしていった。

ある者は「〇〇人を追い出したい」、またある者は「祖国にミサイルを撃ち込みたい」と願い、世界は混乱を極めようとしていた。

さらに共闘関係になったバーバラにさらに強力な力を与えた。彼女はチーターのような怪物となった。

 

アマゾン族に伝わる金の鎧をまとって現れたダイアナはバーバラと戦い、辛勝する。

そして人工衛星を通じて世界中の人々の願いを叶え、暴走するマックスを説得しようとするが彼は聞く耳を持たない。

そこで全世界の人々に「このままでは世界は崩壊する、辛いのはあなただけじゃない」と語り掛け、願いを取り消すように求めると、多くの人がそれに応じていった。

マックスは核兵器が放たれようとしている街にさまよう愛息の映像を見て、正気を取り戻し、すべての願いを取り消すと宣言すると世界に平和が取り戻された。

 

【感想】

前作を見てファンになり、今作も楽しみにしていたのですが、コロナの影響で公開が延期され、またレビューサイトでも評判があまり良くなかったので見るかどうか迷ったのですが、シン・エヴァンゲリオンも公開が延期されてしまい、映画を見に行きたい思いを埋め合わせるために観に行きました。

しかし、結果的に観て良かったと思います。少なくともお金を払って映画館に足を運ぶだけの価値はあったと思いました。

 

一番の魅力はやはり主演のガル・ガドットです。

「強く美しい女性」にぴったりの素敵女優さんだと思いました。アクションシーンも迫力があり見ごたえ抜群でした。

 

それと今回の敵となるマックス・ロードですが、ドナルド・トランプ前大統領にそっくりなキャラクターだったのが面白かったです。

虚勢を張っているけど実は借金まみれというのも現在のトランプ氏の置かれている状況にそっくりだと思いました。

「偉大になるんだ!」というセリフが何度も使われていて、氏の「Make America Great Again」のキャッチコピーを連想しました。

また、マックス・ロードの会社に従業員を採用する時に「You're hired!(採用!)」と叫ぶのですが、これもトランプ氏がバラエティ番組に出てた時の決め台詞、「You're fired!(お前はクビだ!)」のオマージュなのかな?と思いました。

 

その他にも作中のアメリカ大統領に「世界最強の核兵器を持ちたい!」と言わせたり、

エジプトの石油王が「古代王朝を復活させて、移民を追い出したい!」と叫ぶと大きな壁が出現するなど、非常にトランプ批判の多い映画だなぁという印象を受けました。

(気にしすぎかもしれませんが…)

 

残念だった点もあります。

一番はダイアナの強さの波がわかりにくかったことです。

序盤に交通事故を防いだり、強盗を捕まえたり、街の治安を守るシーンがあるのですが、そこは王道のスーパーヒーローという感じでした。

しかし、昔生き別れた恋人のスティーブを復活させてダイアナはヒーローとしての力を失ったはずなのですが、それでもバーバラと互角に戦い、さらにエジプトでは戦車相手に見事なカーチェイスを繰り広げるのですが、どう見てもヒーローとしての強さを失ったようには見えませんでした。

その後スティーブと決別し、力を取り戻したはずなのですが、あまり変化は見られません。

最終決戦でアマゾネス族に代々伝わる金の鎧をまとって登場し、「おおー、これで大暴れするんだな」と思いきや、チーターと化したバーバラ相手に防戦一方で、金の鎧も無残に毟りとられてしまいました。あの戦いの時は一番弱く見えました。

 

その他にちょっと残念だったのはダイアナがエジプトのカーチェイスシーンや、スティーブと決別してマックスと戦うために走り出す時にスローモーションになるのですが、

その時の顔が真顔の緊張感に欠ける表情で「いかにも合成」という表情になってしまったのが残念でした。

 

今回のキーワードは「何かを得ると何かを失う」だったと思います。

リトルマーメイドのアリエルも脚を得るために魔女と契約して声を失いました。

しかし、前向きに捉えることも出来ると思います。

スティーブ・ジョブズの言葉に「何かを得るためには何かを失わなければならない」というのがあります。

リスクを取ってでも新しい何かを得る姿勢を持ちたいと思いました。