トーマスの視聴覚室

トミえもんの視聴覚室

観た映画や、読んだ本についてのレビューを中心に書きます。時々雑談も挟みます。

映画『ムーンライト』(ネタバレあり)

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※この記事はネタバレを含みます。

 

【タイトル】ムーンライト

【観た媒体】ネットフリックス

【観たきっかけ】アカデミー賞作品賞なので

【私的評価】★★★★☆

 

【あらすじ】

内気な黒人少年、シャロンの半生を描いた作品。

同級生にいじめられていたところをドラッグの売人フアンに助けられ、交流を持つが、

シャロンの母親ポーラにフアンの一味がドラッグを売っていたことを知り、絶望する。

 

高校生になったシャロンは相変わらずいじめられる日常を送っていた。

母親の薬物依存は強くなり、売春婦として働きだした。

ある夜友人のケヴィンにビーチに誘われ、大麻を嗜みながらキスをし、手淫に至るが

翌日いじめグループがケヴィンにシャロンを殴るよう命令し、シャロンはリンチされてしまった。

その復讐としてシャロンはいじめの主犯格を椅子で暴行し、少年院に送られてしまう。

 

少年院を出たシャロンはドラッグの売人となった。

ある日、かつての友人ケヴィンから一本の留守電が入っていた。

現在マイアミで料理人をしていること、会ってリンチ事件のこと詫びたいという。

更生施設に入った母親ポーラとの面会日、ポーラはシャロンに売人を辞めるよう諭す。

シャロンがポーラに激しく反論すると彼女は涙を流し、過去を後悔した。

マイアミのケヴィンを訪ねたシャロンは食事をしながら近況報告をする。

ケヴィンは現在離婚して息子の養育費のために働いている。

ケヴィンの家を訪れたシャロンはケヴィンに会いに来た理由を打ち明ける。

ケヴィンはただ彼を優しく抱きしめた。

 

【感想】

不幸な境遇から抜け出せない日常が淡々と続いていくのがリアルでした。

人生の端々でフアンや、ケヴィンのような自分の味方となってくれそうな人物が現れ、

シャロンは心を開いていくのですが、フアンは自分の母親を廃人にしたドラッグの売人で、性的指向を共有できるかと思ったケヴィンには子供がいるという、

中々救われない不幸が続きます。

でも、現実ってそういうものですよね。中々上手くいきません。

シャロンがリンチに遭った後、学校のカウンセラーから「あなたを守りたい。

誰がリンチをやったのか話して」と説得されるのですが、シャロンは黙秘しました。

きっと話すことでケヴィンに処罰が及ぶのを恐れたのでしょう、

そんなことを言っても、普通はいくら親友でもいじめに加わった時点で

義理立てする気になれないと思うのですが、それだけシャロンにとってケヴィンは

縋りつきたい希望だったのだと思いました。

表現でいえばフアンがビーチでシャロンに語り掛けた「夜のビーチで黒人の子が月明かりに照らされると青色になる」という表現はすごく印象に残りました。